2016年1月21日木曜日

1月2〜5日、掘削場の設営と、フィルンエアーサンプリングの準備

元旦はブランチにお正月料理を食べ、休息日としました。久々の休みです。雪で頭や体をきれいにした人や、手洗いの洗濯をしてくれた人も(一人3点まで)。

写っている「なます」は、実家に帰省していた妻に電話で作り方を教えてもらって作ったものです。


2日から4日まで、掘削場の設営です。
最初に掘削場の場所を決め、雪上車を風上に向けて駐めます。そこに、防風幕を風上側と側方に立て、その囲いの中に掘削場を作ります。


↓風下側から見た、囲いの中。
休憩中。

2日後に完成した掘削場。中央に見えるのがドリル(下の方は隠れて見えていません)。

私は掘削場の設営にはほとんど立ち会えませんでした。自分が責任を持って進める「掘削孔からの空気の採集」(フィルンエアーサンプリング)の装置の立ち上げを同時に行っており、加えてその装置に不調が2つ見つかり、大急ぎで確認や修理をしていました。

不調の一つは、CO2濃度計の電源(ACアダプタ)が壊れたこと(コンセントにつないだ瞬間にバチッと音がして・・)。装置の電源仕様を調べて、持ってきたパソコンのACアダプタの接続部を改造すれば流用できることが分かり、無事解決しました(下の写真、段ボール箱の上の装置がCO2計)。

もう一つの不調は、空気採集に使用するポンプが動かなかったことです。
国内でテストをしても、トラブルは起こりえます。輸送中に壊れたのかと不安に駆られながら、急いで装置を分解し、ポンプだけを雪上車内に持ち込んで室温近くまで暖め、雪上車のDC-ACインバーターから電源を取ったところ、正常に始動しました(壊れてはいない模様)。いろいろ試した結果、どうやらポンプの温度と電源電圧の両方が十分高くないと始動できないことが分かりました。このポンプは、固いゴム状の樹脂膜を変形させて空気を圧縮するタイプで、温度が低いと樹脂が固くなって始動が難しくなります。それ自体は分かっていましたが、それに加えてテストに使用した発電機の電圧が100Vに満たないことが分かり、それが重なったことで起こった現象のようでした。本番のサンプリングに使用する発電機はしっかり100Vを出力できるので、加温を十分行うことで正常に始動すると判断し、装置を再度組み上げ、掘削場に併設したテントに持ち込み、漏れがないことをテストしました。

そのポンプは、下の写真の右のボックスの一番下にしまわれています。ボックス全体は70kg以上あり、一人で移動や分解をするのは少々骨が折れました。

掘削場の端に設置した青いテントの中に、上で紹介した装置が置かれています。その手前に8の字に置かれているものは、サンプリングなどに使用する3本のチューブです。100mほどの長さがありますが、このように置くと繰り出しや巻き取り時に絡みません。

1月5日に準備が整い、掘削と空気サンプリングを開始しました。

それではまた。


※一昨日(1月18日)、アイスコア掘削は180mを超えましたが、昼前に強い地吹雪となり中断となりました。19日にかけて掘削は無理でしたので、その時間を生活関連の整備にあてました。雪上車から「居住カブース」に調理・食事の場を移し、発電機のオイル交換をしました。20日は午前中に大量の除雪を行い、午後から掘削を再開しました。現在190mを超えたところです。

2016年1月17日日曜日

12月29日〜元旦

12月29日、風はまだ強かったものの10時頃からソリの掘り出しと連結を行いました。


午後に出発して、ついに目的地であるH128に到着しました。到着時には天気はすっかり回復していました。
ここで1ヶ月以上の滞在になります。

12月30日 生活のための種々の準備。
例えば、200リットルの燃料ドラム缶を何本もソリから降ろし(落とし)、雪上車の脇に並べました。食糧ソリを雪上車のそばに置くことなども。

また、この日には、「しらせ」のヘリでサポートの高橋隊員と大平隊員が昭和基地に帰還しました。本当に有り難うございました。皆でお見送りです。野呂君がの姿が見えませんでしたが・・。

12月31日。
この日も一日中働き、自動気象観測機(気温、雪温、風、日射、積雪深など)を設置しました。衛星経由でデータを送信できるものです。



元旦。
年が明けた直後(夜中)、外に出ました。白夜で日は沈まないので、これは初日の出ではありません。
皆でジャンプした瞬間の写真を撮ろうということになりました。
が、タイミングが全然合いません(このときは妙にきれいにズレていますが・・)。
(左から 竹中さん 野呂さん 川村 荒井さん 櫻井さん。撮影は須藤さん)。


20回目くらいのベストショットです。(左から、竹中さん 野呂さん 川村 須藤さん 櫻井さん。撮影は荒井さん)

それではまた。

今日、1月16日は、掘削深度が150mを超えました。

2016年1月16日土曜日

掘削100m突破

年末以降のことをお伝えできておりませんが、取り急ぎ昨日のことをご報告します。アイスコアの掘削深度が100mを超えました!

2016年1月7日木曜日

12月24〜28日 出発、そしてブリザードによる停滞

一寸遅いですが、明けましておめでとうございます。
更新が滞っておりました。しらせを出発してからここまで、紹介したいことは山ほどあれど、疲れと時間のなさで機会がありませんでした。これまでを写真で少しずつ振り返ってみます。

12月24日、「しらせ」からヘリコプターで南極大陸へ移動しました。途中、昭和基地で前次隊からの支援2名(フィールドアシスタントの高橋さんと機械の 大平さん)をピックアップし、S16という内陸旅行の出発地点へ到着です。大量の物資を手作業でおろしましたが、ヘリコプターのダウンウォッシュが強烈で 近づけない隊員もいました。


S16で3日ほど、総計7トンほどの物資を9人でソリへ積み込み、ソリの連結を行いました。

シャツ姿の方は、越冬明けの隊員です。寒さへの耐性が違います。

今回使用する車両です。雪上車3台に、居住カブース、機械カブースです。他に最大積載量2トンのソリが12台です。

気象観測を習得中。


水は、この容器に雪をため、雪上車のヒーターで融かして作ります。

雪上車の屋根には、アンテナや観測機を設置するために登れるようになっています。

27日、いよいよ出発です。これは私が乗った117号車で、ソリを6台引いています。この他に114号車と115号車がそれぞれカブース1台とソリ3台を引きます。

目的地であるH128地点まで約80kmの道のりです。約2キロごとに設けられた観測点で雪面の高さの測定や雪の採集を行いながら進みます。


この日は風が非常に強く、地吹雪から吹雪に変化していきました。これは観測のため外に出たときに撮った写真ですが、後ろの車両が見えにくくなっています。

しまいには視界がかなり悪くなり、後続車両が我々の走行跡を視認できなくなる程でした。時間を考慮して、この日はH128の10km手前のH108地点でキャンプを張ることになりました。

吹雪の中で給油です。手回しのポンプで100リットル以上も入れます。

翌日、28日も吹雪は止まず停滞です。トイレや全員での夕食以外、出歩くことはできません。各車に分かれて滞在しているので、人員確認も無線で行います。朝昼の食事はパンやカップ麺で、それぞれ車内でしのぎます。下の写真に見えているのは、車両間の移動につたう縄(ライフロープ)です。

雪上車はエンジンをかければ暖かく、炊事場、食卓、ベッドなどの機能が備わっていて、外が吹雪でも平和で快適な環境が得られます。この日は誕生日のお祝いがありました。


今回はここまでにします。

さて現実の時間では、1月5日、ついにアイスコアの掘削が始まりました。