2016年3月13日日曜日

ペンギン、クジラ、夕焼け

昨日と一昨日は、夕食後に写真を撮りに甲板に出ました。運良くペンギンやクジラ、奇麗な夕景を見ることが出来ました。

コウテイペンギンとアデリーペンギンが同じ海氷にいました。

コウテイペンギン

アデリーペンギンとユキドリ

クジラ

夕日と氷山

上の写真に写っている左の氷山の右端(光が当たっている部分)を望遠で撮りました。

一昨日の夕焼けと氷山

コア処理

今回の掘削は、人数的には最低限の5名で行いました。エアロゾル観測プロジェクトの2名を含めて7名で、その中から食事当番も出すので、掘削に2名、コア処理に1〜2名という少人数体制でした。そのため、現場で行う「コア処理」の内容は最低限に絞っていました。

まず、新たに掘削したコアと前回のコアの接合面を合わせます(軽く押しつけながら回転させ、ピッタリ合う位置を探します)。その後、コアの継ぎ目をまたぐように印を付け、長さを測ります(数100mあるコアの長さも、最上端から少しずつ継ぎ足して決められます)。その後、コアの特徴を記録用紙に記載します。部分的な欠けや、掘削間の切れ目の位置、氷板(気泡や空隙のない氷の層)、火山灰(今回は現場で目視できるものなし)、コアの直径、など。この段階で、最終的に箱詰めするための分割位置(約50cm間隔)も決定し、記録用紙とコアに書き込みます。


決めた分割位置で切断します。

専用の袋に入れてから、箱に入れます。このあと貯蔵庫に運びます(また次回に)。


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初期のコア処理場には屋根がなかったので、天気が良くても悪くても大変でした。天気が良いとテーブルの上の掘削チップや氷のかけらが融けて水になり(気温は氷点下ですが、強い日差しで物が直接加熱されます)、下の写真のように吹雪くと紙や物が飛ばされます。時間の制約から、コア処理場や貯蔵庫は、最初は最低限の機能や大きさだけを持たせ、掘削が始まってから拡張や改良が続けられました。

後日、ブルーシートの屋根をかけた状態です。これで日射や風を防ぐことができました。ちなみに、シートの角でない部分に紐をかけるための団子がありますが、これは冬訓練で(緊急搬送の実習のとき)教わった、雪玉を包んで固定点を作る方法です。


2016年3月7日月曜日

アイスコア掘削 その2

アイスコア掘削の続きです。

ドリルの内筒を引き出します。写真で赤いソリに落ちている粉雪のようなものは掘削チップ(刃で切削された氷の細片)の一部です。


掘削チップを排出し、コアを筒の内部でスムーズに移動させるため、筒を縦に保持して軽く叩く場合もよくあります。写真では、下方から掘削チップが出てきているのが見えます。このドリルで最も順調に掘削できた場合、筒の長さの半分以上がチップで満たされ、110cmほどのコアが採取できます。(なお、ドームふじの深層掘削では、約4mのコアが採取できる非常に長いドリルが使用されました)

アイスコアを長い棒で押し出します。ちなみに、合板の上に古布団を敷き、その上で作業しています。

コアの長さを計測します。バインダーの記録用紙には、掘削中の様々なデータが記載されます。各動作を行った時刻、モーター電圧、電流の移り変わり、コアの長さや数(割れている場合)、トラブルや気付いた点、等々。



この後、ドリルを清掃・整備し、次の掘削を行います。1サイクルの所要時間は、深度によりますが15〜30分程度です。これを約300回繰り返し、1月27日に最終深度261mに達しました。一日の最多回数は30回でした。ハードですが充実した日々であったことが思い出されます。

コアはこのあと「コア処理」と呼ばれる一連の行程を経た後に、箱詰め・保管されます。
それは次の機会にご紹介します。
ではまた。

アイスコア掘削 その1

しらせに戻ってからもいろいろ忙しく、長らく更新が止まってしまいました。
なお、しらせは2度の予定変更で、まず南アフリカに行き、今度は南極にあるオーストラリアの基地に行きました(どちらも公式発表されており、後者はニュースにも取り上げられたようです)。シドニー入港と帰国の予定に変更はありません。

さて、1月5日に始まったアイスコアの掘削の話です。最初に、H128にいる7名全員が集まり、掘削の成功と安全を祈願しました。掘削する氷に影響しないよう、御神酒をかける場所にも気をつけて。
下の写真では、掘削機(ドリル)が横倒しになっています。これがスタート時の状態です。


ドリルの下半分は筒が2重構造になっていて、内側の筒の先端に刃が3枚付いています。この刃で削られた氷の細片(掘削チップ)は、外筒と内筒の間(緑色の部品が見えているすき間)を通ってドリル上部に運ばれます。周囲をくり抜かれた氷は、内筒の中に入っていきます。


ドリルを縦向きにして、掘削孔に降ろしていきます。


ドリルが孔の底に到着すると、刃を回転させて掘削します。順調なら5分足らずで1mの掘削が可能です。その間、一人はパネルの操作と計器の注視・記録、もう1人はケーブルの張りや感触を確かめます。掘削がスムーズに進むよう、回転数や降下速度を調整したり、トラブルの兆候を見逃さないようにします。


ドリルの中が氷で満たされたらその回の掘削は終了です。ドリルを引き上げ、横倒しにします。下の写真では、氷の端面が見えます。


次回に続きます。